【オタク懺悔】好きなキャラと同じ声が聞きたすぎて全然関係ないASMR作品を聴く
タイトル通りASMR作品にかんする記事です。
拙者も古の硬派オタク、「ASMRぅ?? ブォホォwwww 人気声優を起用したちょっとエッチな音声などには釣られませんぞwwww ww そんなの高校生が聴くものでござろうww ww ww ww ww ww 」みたいな構えがあったのですが、普通に話が良すぎて完全に負けました。
「話が良かった」とか言うと、脊髄反射で古いオタク自我からツッコミが入ります。
「ふーん、で、君は涼宮ハルヒのキャラで誰が好きなの?」
「オウフwwwいわゆるストレートな質問キタコレですねwww おっとっとwww拙者『キタコレ』などとついネット用語がwww まあ拙者の場合ハルヒ好きとは言っても、いわゆるラノベとしてのハルヒでなく メタSF作品として見ているちょっと変わり者ですのでwwwダン・シモンズの影響がですねwwww ドプフォwwwついマニアックな知識が出てしまいましたwwwいや失敬失敬www まあ萌えのメタファーとしての長門は純粋によく書けてるなと賞賛できますがwww 私みたいに一歩引いた見方をするとですねwwwポストエヴァのメタファーと 商業主義のキッチュさを引き継いだキャラとしてのですねwww 朝比奈みくるの文学性はですねwwww フォカヌポウwww拙者これではまるでオタクみたいwww 拙者はオタクではござらんのでwwwコポォ」
ですがもう令和なのでこの辺は無視していきましょう。
プリマジ観た?
ところでみなさん、アニメ「ワッチャプリマジ!」はご覧になられましたか?
自分はこの作品に登場する甘瓜みるきちゃんの大ファンで、毎週テレビの前で「みるきたそ〜」と鳴きながら楽しく観ていました。
www.youtube.com
かわいすぎ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
正直、みるきたそに古のオタクみたいなパートナーがついたり(同族嫌悪)、モラハラ彼氏みたいな妖精がついたりしたときはキレ散らかしてましたが、「プリマジ」のシリーズはアニメが3年続くのが基本なので、まあ最終的にいい感じの話になればいいよね、それよりもこんなにかわいいキャラを3年も見られるなんて幸せだよ〜〜〜〜オタクで良かった〜〜〜〜みたいなノリでした。
今思うとこの余裕が良くなかったんですね。「プリマジ」は1年で終わってしまい、シリーズ自体も休止してしまったのです。 これにはかなり動揺しました。みるきたそはもういない!?
しばらくはみるきたそ活躍回を見直したり、リアルライブを見たり、グッズを買ったり、ファンアートを見たりして耐えていたのですが、最近耐えきれなくなってついに悪の思考に負けてしまいましたーーーー
担当声優が同じ別キャラでなんとかならん?
虎ノ門うめさん
ジェネリックみるきを探す禁忌の旅ーーーーその果てに見つけたのが、「結構乙女なオタサーの姫の献身的なマッサージ。――私のとりこにしてあげます」です。
www.dlsite.com
みるきたそとなぜか似ている声をお持ちのキャラクターは、虎ノ門うめさんです
このASMRは、アニメ「ある朝ダミーヘッドマイクになっていた俺クンの人生」の派生作品です。このアニメ、少し前に放送していたことは知っていたのですが、炎上商法まがいのことが耳に入っていたので、かなり意識的に視聴を避けていた作品でした。硬派オタクとしてもな。ですが、今は自分とて禁忌を犯した身、毒を食らわば皿までです。虎ノ門うめさんがどんな人かはまったく存じ上げませんが、この作品をさっそく聴いてみることにしました。
...............
みるきたその声で色々してくれて満足だよ〜〜〜〜〜〜
というのが感想の半分です(重要)。虎ノ門うめちゃんは様々なオタクを"とりこ"にする小悪魔的振る舞いを自ら武器にしていて、自分に全然なびいてこない主人公をあの手この手(ここにASMRが入る)で籠絡しようとしてきます。その部分はメチカワで本当によかったんですが、それだけだったらうめちゃんは自分の中で単なるジェネリックみるきのまま終わってしまうところでした。ところがそうはならなかったんです。
うめのとりこになるように
この作品、無から生じた主人公(=自分)に無から生じたヒロインがあれこれしてくれるみたいな話では全然なくて、設定がちょっと複雑なんですね。
複雑な設定というと、アニメ版を視聴済みの方は「ASMR部(何?)に所属するヒロインたちが、ASMR甲子園(何?)へ向けて練習する様子を、ダミーヘッドマイクに転生した主人公(何?)が聴く」みたいな設定を想像するかもしれません。ですがASMR版の主人公周りの設定は実はぜんぜん違います(自分は後からアニメを見てビビりました)。主人公(=自分)はふつうに人間として登場してきます(なおASMR部とかASMR甲子園とかは健在です)。複雑なのは人間関係です。
聴いてみてすぐびっくりしたんですが、この作品、主人公(=自分)にデフォルトで別の彼女がいます。これより前にリリースされた作品でそういうくだりがあったのかもしれませんが、自分はここがスタートなのでこの彼女は無から発生しました(記事執筆時も、うめちゃんが出てくる作品以外は聴いてないので詳細は謎です)。自分の側にそういう重要な設定があるとはまったく予想してなかったので、初聴時には話がうまく飲み込めず、何度か巻き戻してしまいました。
ただ正確に言うと、主人公と彼女はまだ正式にはつきあってないんですね。主人公はキープくんということです(いつの言葉?)。そしてうめちゃんの方も、ずっと昔から主人公に好意を持っていたんです。そうすると、ASMR部分の主人公に対する小悪魔的言動も、一オタクを自分のファンにしてやろうということではなくて、彼女のスキを突いて主人公を盗ってやろうという略奪の意味合いが入ってきてるんですね。
ところが話はそう簡単には行きません。うめちゃんは彼女のことも普通に先輩としてリスペクトしていて、いい友人関係を築けているんです。うめちゃんには友人関係をうまくつくることができなかったという過去があるんですが、今は彼女とも、他のASMR部のメンバーとも、そして主人公ともいい関係をつくることができています。そしてその人間関係をとても大切にしているんですね。幸せそうです。でもその幸福な関係は、主人公への恋心を諦めることでかろうじて成立しているんです。こんなに切ないことってありますか?
作品が後半に進むにつれてこのような人間関係が明らかになってきて、友情と恋心の間で複雑に揺れるうめちゃんの心模様が描かれることになります。このあたりになってくると、自分はうめちゃんの方に感情移入しすぎて、音声が自分(=主人公)に語りかけられているという視点を取ることができなくなり、普通に第三者の視点からうめちゃんの行く末を見守る謎の存在になっていました。
こうして、ASMR部分の小悪魔的言動とはぜんぜん違うところで、自分はうめちゃんの"とりこ"になってしまいました。ASMR甲子園にASMR部というめちゃくちゃな設定の本作ですが、うめちゃんの悲恋だけはホンモノなのです。
子守唄で泣く
もっとうめちゃんのことを知りたくなったので、他の作品も聴いてみることにしました。うめちゃんにはソロ1作品以外にも全体作品が2、さらに他キャラクターとのペア作品が2あります。このペアの組ませかたが邪悪としか言いようがなく、主人公の彼女とのペア、および、彼女の妹とのペアなんですね。うめちゃんには憧れている別の先輩キャラがいるという設定があるのに、その先輩とのペア作品を捨ててまでこの2作品というのが怖いです。こんなヒリヒリした設定の作品を聴きたかったわけじゃないが?
とはいえ、どちらの作品でも泥沼の展開が直接出てくるわけではありませんでした。表面上は、うめちゃんは彼女ともその妹とも友情を確認する形で終わります。ですが、上の人間関係を踏まえると、この姉妹との友情がまためちゃくちゃに悲しいんですよね。
ここで、ソロ以外の作品の中で特に素晴らしかったものを一つ紹介します。うめちゃんと彼女のペア作品、「ばぶばぶ癒やしRemix!――女友達と後輩に赤ちゃん扱いされる話」です。
www.dlsite.com
あまりにも ひどすぎるだろ タイトルが(芭蕉)
いまASMR界では赤ちゃん言葉が覇権を握っているため、それを習得するべく主人公を赤ちゃん扱いして練習するーーというタイトルに違わぬひどい設定の話なのですが、ポイントとしてトラック9になんと既成の子守唄の歌唱が3曲も入っているんです。キャラの歌うカバー曲はオタク全員好きですが、子守唄のカバーとかあるんだ。
うめちゃんが「きらきら星」をなぜか英語で(おそらく日本語詞の著作権が残っているため)歌ってくれたのにはオタク特有の笑みをこぼす余裕がありました。ですがその後、うめちゃんと彼女のデュオで「ゆりかごのうた」が歌われたとき、思わず感極まってしまいました。うめちゃんは一体どういう心情でこの歌を歌っていたんでしょうか。尊敬する先輩だが恋敵でもある彼女と一緒に、主人公に歌をうたってあげるーーその姿を想像すると普通に悲しくなってしまって、ポロポロと涙がこぼれました。北原白秋と草川信による素朴な詞と旋律がそうさせたのかもしれませんが...... オタクをやってると年甲斐もなく涙を流すことがありますが、まさかこの歳になって子守唄聴いて泣くことがあるとは思ってなかった。
この涙とともに、虎ノ門うめさんをジェネリックみるきだと見る目の鱗も完全にこぼれ落ちてしまいました。そしてもう一度目を開いた時そこには、目の前の幸福を悲しい予感とともに受けいれる、一人の人間の真実な姿があったのです。