柑橘類さんのブログ

ひなろじを見たりします

【随想】渋谷スクランブルスクエアへ

駅から一番近い文房具屋さん調べたら、スクランブルスクエアの10階にハンズ入ってるって、降りた足で便箋と色ペン買って、その辺のカフェで急いでお手紙書いてライブ行った。スクランブルスクエアの店に入ったのは多分初めて。

完成してすぐの頃、乗り換えでエスカレータ降りてたら、後ろのおじいちゃんたち言ってたね。「最期に新しい時代の渋谷を垣間見れたね」、「うん」って。あの人たちまだ生きてるか知らないけど、そうだ、これが新しい、自分たちの渋谷なんだって、誇らしかったよね。

緊急事態宣言明けて久々に出社したとき、ひと月前とは見違えるほど急に建物伸びててびっくりしたよ。スクランブル交差点に誰もいなかったのより驚いた。宣言前日にオープンしたお店がそのまま潰れても、この街自体は止まってないんだって、はじめて明るい気持ちになったよ。

親が遊びに来てヒカリエでミュージカル見たとき、向かいで馬鹿デカいビルが工事してたのをすごい憶えてて、いまだにその話されんの。自分はもうあのビルは出来たんだ、これこれこういう風で! っていつも言ってる。

『ホットギミック ガールミーツボーイ』が好きなのは、映像自体も素敵だけど、工事中のビルが写ってるから。自分のいた渋谷駅前が写ってるからだよ。



自分も優等生だからさ、渋谷の再開発みんな嫌ってるのもわかるよ。宮下公園のこともあるしね。
でも、北陸からホンモノの渋谷に出てきてさ、もう完成してる渋谷、どこかで聞いたことある渋谷、みんなが知ってる渋谷じゃなくて、自分より新しい渋谷はキミだけだった。駅前に出るたびに、自分と同じように新参で少しづつ成長してるキミがいるのは心強かった。

新しい乗り換えをおぼえたときも、仕事で東京中駆け回ったときも、イベントでワクワクしながら通り過ぎたときも、社長に散々説教された帰りも、馬鹿みたいに酒飲んで路上で死んでたときも、ハロウィンで軽トラ引き倒してるのを横目に通り過ぎたときも、朝5時に帰ってまた8時に出てきたときも、仕事辞めて実家帰ったときも、キミはいつも工事中だった。

アタシはもう渋谷の人じゃなくなっちゃったけど、あとはキミがよろしくやってよ。渋谷スクランブルスクエア。